
静岡県・御殿場市・御殿場カルチャーファーム
2024年7月、国際藝術CONTACTがアーティスト姚俊傑を御殿場カルチャーファームに招待し、リサーチと交流を実施。数日間の滞在を経て、姚俊杰は馬一頭一頭の名前やその背景にある物語に強い関心を寄せるとともに、農場スタッフと動物たちとの生活構造にも深く触れる。馬の歴史や文化を取り込みながら、人間と動物の感情をアイデンティティとして表現し、それぞれの馬に独自の印記を創作。

姚俊傑 ・「秋月」印章印影のサムネイル
御殿場カルチャーファームに生きる28の命のために創作

2024年9月10日、「秋月」という名の馬がこの世を去る。作家はその知らせを受け、作品のタイトルを「秋月」と名付ける。
《万叶集》(759年)巻十四・3531首
馬じもの あらぬ姿を 里見れば 春草青し 野辺は匂へる
馬が去った後の空白には、万物がなお存在している。
姚俊傑の作品「秋月」は、《万葉集》に収められたこの詩と同じ感情を共有している。彼の視点では、馬場の馬たちは単なる動物ではなく、それぞれが一つの物語、一つの命を持っている。彼は各馬に篆刻を施し、その物語や存在の痕跡を記録することで、馬たちの独自の命を保存し、また人と馬との間にある深い絆を証言している。




姚俊傑はこれらの物語と命を篆刻という形で石に刻み、歴史を保存している。この方法は、馬たちの命を尊重し、また失われたものへの追悼と思考を含んでいる。自然界では命の消失は避けられないが、命の痕跡は永遠に残り続ける。

姚俊傑 ・「秋月」原印
姚俊杰は、篆刻を通じて馬一頭一頭の存在と温もりを記録し、それが馬場に残っているかどうかに関わらず、ここに残された物語と痕跡は消えることなく、彼の作品において生き続ける。名付けられた「秋月」の馬の逝去は、この場における始まりでも終わりでもなく、「彼」と「それ」間に横たわる絆—愛の表現である。






